共通科目情報処理(上級)、インターネットの仕組み、2003年02月21日 電子・情報工学系 新城 靖 <yas@is.tsukuba.ac.jp>
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ネットワーク・ニュースのメッセージを読み書きするには、ニュース・リーダ と呼ばれるプログラムを使う。
ニュース・リーダの種類:
ネットワーク・ニュース(network news) あるいは、 ネットニュース(netnews) は、インターネットで「1対多の通信」を実現するための仕掛けの1つ。 Usenet と呼ばれることもある。 ネットワーク・ニュースでは、ある書き手が発したメッセージを、大勢の人が 読む。ネットワーク・ニュースでは、メッセージの事を新聞に たとえて「 記事(article) 」と呼ぶ。 1つひとつの記事は、電子メールと同じく、基本的にはテキストである。
図?は、ネットワーク・ニュースの記事が配送される様子を表わしている。
各LAN上のどれかのコンピュータでは、ネットワーク・ニュースのサーバ (NNTPサーバ) が動いている。そのサーバは、LAN内の他のコンピュータで動いているニュー ス・リーダからの要求に従って、自分が保存している記事を提供する。また、 投稿された記事や他のサーバから受け取った記事を、他のサーバへ転送する。 この時、サーバ間、および、サーバとニュース・リーダの間で使われる、 TCP/IP上の通信プロトコルは、 NNTP (Network News Transfer Protocol) である。
このように、ネットワーク・ニュースの記事はサーバ間で次々にコピーされる 形で伝わっていく。この時、世界中の数百万のサーバの中には、コピーに 失敗することがある。こういう現象を、「記事が落ちる」という。 また、コピーには、どうしても遅れか生じる。電子メールが1分もかからな いで届くような間でも、ネットワーク・ニュースの場合は、数時間はかかると こともある。また、途中のサーバが止まっていると、記事が落ちな いまでも、そこで何日か足止めされることがある。
ニュース・リーダ(news reader) は、ユーザと対話しながら、サーバから記事を取り寄せたりサーバに記事を送っ たりするプログラムである。
ネットワーク・ニュースでは、毎日膨大な量の記事が投稿されている。それ を保存するためのディスク容量には、限りがある。よって、記事は、あ る保存期間が過ぎると自動的に消されるようになっている。 これを、 エクスパイア(expire) するという。保存期間は、サーバによって異なるか、普通は2週間程 度である。
ネットワーク・ニュースの記事は、次のようなテキストです。
------------------------------------------------------------------------------ Newsgroups: fj.news.reader From: shiro@is.tsukuba.ac.jp (Shiro Yagi) Subject: E-Mail facility of news readers Date: Thu, 20 Mar 1997 00:55:50 GMT Organization: Institute of Information Sciences and Electronics, Univ of Tsukuba Message-ID: <SHIRO.02Mar20005550@is.tsukuba.ac.jp> こんにちは。白やぎです。 ニュース・リーダの電子メールも読み書き機能では、どれが便利一 番便利でしょうか。GNUS でも、メールが読めると聞いたのですけ れど。 ♪♪ 白やぎ ♪♪ http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/ ------------------------------------------------------------
ネットワーク・ニュースの記事の構造は、 電子メールと共通である。 電子メールもネットワーク・ニュースの記事も、空行で ヘッダ(header、頭) と 本文(body) にわかれる。
電子メールと共通のフィールド:
Newsgroups:
Followup-To:
Distribution:
記事は、
ニュース・グループ(newsgroup)
と呼ばれる仕組みを使って分類されている。世界中で1日に投稿される記事
は、数百万にもなる。それらの記事を全部読むことはできない。
ニュース・グループという仕組みを利用して記事を分類し、各自が興味を持っ
ている記事を簡単に見つけられるようにしている。
それぞれの記事のヘッダのNewsgroups:
フィールドには、その記事がど
のニュース・グループに属しているかが書かれている。
ニュース・グループには、次のように、「.」で区切られたアルファベット や数字などで名前が付けられている。
fj.rec.music
fj.comp.lang.c
ニュース・グループの名前は、英語で、かつ長いものは省略形で 付けられてる。
ニュース・グループの名前は、全体として、 木構造(tree structure) になっています。木構造が使われている理由は、 ファイルの名前付けや DNS (Domain Name System) と同様に、非常に多くのニュース・グループを扱えることによる。
ニュース・リーダの中でも、mnews
や vin
は、ユーザがニュー
ス・グループの木構造にそってニュース・グループを選んでいくことになる。
ニュース・リーダによっては、ユーザは、木構造をあまり意識せず、自分が
興味があるグループを自分が好きな順序で選んでいくことができるようになっている。
1つの記事は、普通、1つのニュース・グループにだけ現われる。記事を投 稿する時に、複数のニュース・グループに現われるようにすることを、 クロスポスト という。
よいニュース・リーダなら、クロスポストされた記事を見つけると、一度 だけユーザに提示し、別のニュース・グループでは既読として扱い、提示しな いという機能がある。クロスポストの機能を使わずに、同じ内容の記事を 複数のニュース・グループに別々に投稿することを マルチポスト という。マルチポストは、特別な場合を除いて、避けるべきである。い くら大事で有益な情報でも、何度も同じ記事を読むことを望む人はいない。
Distribution:
とは、
普通、記事が配られる範囲を制限する(小さくする)機能である。
配布範囲の例としては、
学内、社内、市内などが考えられます。典型的な使い方は、
たとえば、fj などのもともと世界区のニュース・グループに、学内に限定し
た話題を投稿する時に、配布範囲として「学内」を指定して投稿するというこ
とである。
特別な配布範囲:
local
world
配布範囲の機能は、現在の所、あまりうまく活用されていない。
多くの場合は、空のままでよい。配布範囲が空の場合、
world
という意味になる。
Subject:
や From:
を見て、その記事を読むかどうかを
決める。
ニュース・グループの中には、自分には興味がないものもある。ニュース・ リーダには、そのようなニュース・グループを、表示しない機能がある。 このことを、ニュース・グループを購読しない状態にするとか、 アンサブスクライブ(unsubscribe) するという。多くのニュース・リーダは、新しいニュース・グループを 購読する状態 ( サブスクライブ(subscribe) された状態 ) にする。ユーザは、興味があればそのままの状態にしておき、興味がなけれ ば、アンサブスクライブする。
1つのニュース・グループでは、各記事には、サーバが受け取った順に付けら
れた番号が付けられている。
記事番号
と呼ぶことがある。ニュース・リーダは、標準では、この記事番号の順番
に記事を提示する。Subject:
や、
スレッド
の順序で並べ変えて関連する話題を連続的に読めるように提示する機能がある
ニュース・リーダもある。記事番号、ニュース・サーバごとに異なる。
記事を参照する時には、 Message_ID:
を使う。
記事を書くには、記事の形式で説明 したようなテキストを作成し、サーバ・プロセスに渡すことになる。この 作業を、記事を投稿する、 あるいは、 ポストするという。
ネットワーク・ニュースの記事を投稿するのは、電子メールを出すことと非常
によく似ている。異なる点は、
電子メールの受取人の電子メールのアドレス(To:
)の代わりに、ニュー
ス・グループ名(Newsgroups:
)を指定する所、および、
配布範囲
(Distribution:
)を指定することである。
投稿された記事は、すぐには読めない。これは、効率のため、ある程度ため 込んでまとめて処理されるからである。うまく投稿されたかどうかを確認するに は、場合によっては10分〜15分ほど待つ必要がある。そして、1度 ニュース・リーダをを終了して、再び実行しなおすか、新着記事をチェックす る操作を行うと、見えるようになる。
ネットワーク・ニュースでは、記事を投稿する時に、他の人が書いた記事を引 用しつつ自分の意見を書き加える形で行なうことがよく行われる。この方法の 投稿ことを、 フォローアップ(followup) という。ネットワーク・ニュースの記事を読むと直ぐに気が付くように、 記事の大部分はフォローアップ記事である。どのニュース・リーダも、フォ ローアップ記事を簡単に投稿できるような機能を持っている。
記事をクロスポスト記事するには、
Newsgroups:
ヘッダに、ニュース・グループを「,」で区切りながら並べる。
また、クロスポストする時には、同時に
Followup-To:
を付け、以後の議論が続けたいニュース・グループを指定することができる。
これが付いた記事にフォローアップしようとすると、ニュース・リーダは、こ
こに指定されたニュース・グループをNewsgroups:
に設定する。
ネットワーク・ニュースでは、フォローアップで話を進めていくことが基本だが、 記事を書いた人に電子メールを出して詳しい話を聞いたり、 詳しい情報提供をしたりすることも行われる。 このことを、電子メールと同様に、 リプライ(reply) するという。
電子メールと違って、ネットワーク・ニュースでは、一度投稿した記事を 取り消すことができる。これを、記事を キャンセル(cancel)、きゃんせる するという。キャンセルできるのは、自分が投稿した記事だけである。 普通のニュース・リーダなら、キャンセルする機能があります。
記事は、保存期間が終ると消えるので、ネットワーク・ニュースの記事で、有 益なものを見つけた時には、ファイルに保存する必要がある。ニュース・ リーダでは、記事を保存する機能がある。
NNTPSERVER
)
が使われる。ポー
ト番号は、標準では 119 が使われるので、普通は、ホスト名だけを指定する。
ニュース・リーダの中には、119 以外のポート番号に接続できるものや、複数
のサーバに接続できるものもある。
サーバ・プロセスが動いているホストでは、直接、サーバが管理しているファ イルを参照して、記事を読むこともできる。NNTP が普及する前は、この方 法が一般的であった。現在では、自宅のパソコンでオフラインでニュースを読む時 にこの方法が使われることがある。 この場合、次のようなファイルやディレクトリが重要になる。
active
ファイル。
/usr/local/news/etc/active
や/usr/lib/news/active
という名前のファイルが使われることが多い。
/usr/local/news/spool/articles/
や
/var/spool/news/
という名前
がよく使われる。各記事は、このディレクトリ以下に、ニュース・グループ名
の「.
」「/
」に変えたディレクトリの下の
記事番号の名前のファイルに保存される。
「.」で区切られたニュース・グループの名前のうち、一番左のものを トップ・ドメイン(top domain) と呼ぶ。トップ・ドメインが同じニュース・グループは、普通、 配布範囲 AUP が共通である。 fj などの伝統的なニュース・グループは、AUP として「非営利目的の記事の み投稿してよい」という AUP を持っていることが多い。これは、企業か らの商品の広告や宣伝を禁じたものである。ただし、宣伝ではなければ、製品の 話をするのは、まったく問題がない。よい製品の評価が書かれた記事は、 歓迎される。
トップドメインの例:
サーバ限定
local
地域関連(世界に配布されているものもある)
tsukuba
kyushu
okinawa
nara
日本発世界行き
fj
japan
tnn
世界区
comp
news
sci
soc
rec
gnu
ニュース・グループの名前には、普通の英単語が使われるが、 短縮形やニュース・グループ名に使われて特殊な意味を持つものがある。
comp
sys
rec
sci
soc
lang
engr
mail-lists
misc
binaries
general
annouce
Followup-To:
を付け、
以後の議論が続けたいニュース・グループを指定する。
マルチポストは、特別な場合を除いて、避けるべきである。い
くら大事で有益な情報でも、何度も同じ記事を読むことを望む人はいない。
Subject: 、大勢の読み手にとって、あなたの記事を読むか読まないかを決め
る大事なキーワードになる。記事を投稿する時には、内容を連想できるような
よい Subject: を付ける。「質問」とか「教えて」というのは、多くの場合、
適切ではない。その理由は、ネットワーク・ニュースの記事の応酬は、最初は、
質問から始まるからである。
署名は、簡潔で短いものが好まれている。「JUNETの手引き第1版」で既に 現われている目安としては、「4行以内」というものがある。
フォローアップやリプライをする時には、ニュース・リーダは、たいてい元記 事の内容がすべて引用された状態を作り出す。この場合、必要な部分だけ を引用し、かつ、引用した部分より、自分が書いた行の方が多くなるようにする。 たとえ記事をキャンセルしたとしても、即座に記事が消えるのは、自分が使っ ているサーバだけである。世界中のサーバで記事が消えるのには、普通の記事の 配送と同じように、時間がかかる。というのも、記事のキャンセルも コントロール・メッセージ と呼ばれる特殊な記事を配送することで行なわれているからである。コントロー ル・メッセージの記事が落ちると、その範囲では記事はキャンセルされずに残 ることになる。また、キャンセルする前に誰かがフォローアップ記事を投 稿している可能性もある。記事のキャンセルをする時(本当は記事を投稿す る時)には、このような仕組みを理解してから行う。フォローアップ記事を投稿するか、電子メールでリプライするかは、内容による。 普通は、フォローアップ記事を投稿することが好まれる。あなたの 返事や、その返事に対する相手からの返事が、あなた以外にも役に立つことで あれば、電子メールでリプライするのではなく、フォローアップ記事にすべき である。ネットワーク・ニュースは、大勢の人が読んでいるので、多数の電子メー ルによる返事が元記事を投稿した人の所に来る可能性がある。そうなると 元記事を投稿した人は、同じ内容の返事を何通も書かないといけなくなるかも しれない。また、元記事を投稿した人よりも他の人の方がもっとよい答えを 持っていることも多い。
◆電子メールをネットワーク・ニュース投稿する前には許可をもらう
電子メールは、紙の手紙と同じように、私信として扱うということになっている。 私信なので、基本的には、個人と個人の間での秘密のものである。他人 に見せる時には、紙の手紙を他人に見せるのと同じ程度の注意が必要である。ネッ トワーク・ニュースに投稿する時には、事前に書いた人の了解を得るべきである。 ネットワーク・ニュースは、Give & Take の精神で成り立って いる。お礼を言うのも大切だが、そりよりも、何か教えてもらったら、次 に同じ話題や自分の得意分野で困っている人を助けてあげることがより大切になる。 お礼だけの記事を読みたい人は、いない。たくさんのフォローアップがあり、 有益な情報が得られた時や、電子メールで送られてきた時には、要約を投稿す ると喜ばれる。 フォローアップ記事の場合、形式上は返事を書くようにして記事を書くが、 これは、形式上の話である。元の記事を書いた人だけではなく他にも大勢の人が 読んでいることを忘れてはならない。揚げ足とりや相手をやり込めるためだけの記事の投稿は、誰の利益にもならない。 投稿した本人の評判も下がり、かつ、大勢の読者の貴重な時間が失 われることになるからである。
ネットワーク・ニュースに出す記事の責任は、投稿者にある。ニュース・ システムの管理者や投稿者が属している組織には関係ない。どんな発言 をするのも自由であるが、この自由は、結果の責任をとることができる人が享受 すべき自由である。 ネットワーク・ニュースの前では、学生も教官も平社員も社長も皆平等になる。 この性質をうまく利用して議論を楽しむことが大切である。一部の 掲示板で見られるような、メッセージの削除の権限をもつような議長はいない。ネットワーク・ニュースでは、ニュース・グループのリストを管理するために 管理人を置いている場合が多い。その場合でも、管理人は、リストの維持 という点では特別な仕事をしているが、普段の活動では、まったく の普通の参加者と平等な立場にある。
ネットワーク・ニュースでは、意見がぶつかり合う所が面白い。 この時、お互いの意見を尊重することを忘れてはならない。説得や教育は、 ネットワーク・ニュースでは、なかなかうまくいいかない。議論の相手の 親でも教師でもない場合は、最終的には、どうすることもできないと思ってよい。
ある時期、記事の内容ではなくて、漢字変換のミス、言葉遣いの間違いなど表 面的なことだけを指摘して、元々の記事の内容につしては何もかかないという ような記事を投稿することが流行した。こういう方法は、ネットワーク・ ニュースのためのソフトウェアの開発の局面や、参加者が少ないうちには有効 だったのかもしれない。しかし今日のように、ネットワーク・ニュースの参 加者が増え、何万人という読者がいるという状況では、もはや有効な方法では なくなっている。にもかかわらず、続けているのは、個人の趣味である。他人 の趣味は尊重するのがネットワーク・ニュースですが、 この講義の受講者には、真似をしてほしくない趣味である。
ネットワーク・ニュースでは、フォローアップがフォローアップを呼んでその 話題が増えていく。投稿される記事を内容を自分が望む方向に進めるため には、この性質をうまく使うとよい。すなわち、自分でも読みたい ような記事を投稿すればよい。また、投稿してほしくないような記事を 見たら、「そんな記事を投稿するな」と投稿するよりも、無視する 方が効果的である。電子メールと共通のヘッダ
From:
Reply-To:
From:
に書かれているア
ドレスが使われる、Reply-To:
がある場合には、それが優先される。
Subject:
Date:
Message-ID:
Newsgroups:
Followup-To:
Distribution:
Organization:
References:
Message_ID:
のリスト。
Path:
Expires:
Control:
Approved:
To:
がない。その変わりに
Newsgroups:
がある。
フォローアップ記事には、電子メールの返信と同様に、Subject:
に
Re:
がつく。ネットワーク・ニュースの記事の場合、さら
に、References:
ヘッダに、元になった記事の履歴が残されている。
この履歴にそって記事を結んでいる線を
スレッド(thread)
という。ニュース・リーダの中には、1つのニュース・グループをスレッ
ドに添って記事を追いかけて読むことが簡単にできるように、記事を並べ変え
る(ソートする)機能を持っているものがある。
Subject:
や From:
は、読むべき記事を
選ぶために非常に重要な要素である。この時、ニュース・リーダが自動的に興味
がない記事を消してくれたら便利である。このような機能を
kill file
という。この機能を持つニュース・リーダは、kill file にかかれたパタンにマッ
チした記事を、自動的に既読として扱い、他の既読記事と同様に標準ではユー
ザに提示しなくなる。
一般に、興味がある記事を興味がない記事を自動的に分類する機能を フィルタリングという。最近では、kill file の他に、優先度を付けたり、 NoCeM などを使って spam記事 を自動的に見えないようにする機能をもっているニュー ス・リーダもあります。
Approved:
ヘッダに付けられる。
ニュース・リーダには、最初から rot13, rot47 に対応しているものがある。 対応していないニュース・リーダの場合は、 nkf コマンド(サーバで動くプログラム)を使って 暗号化/復号化を行なう。次のように
nkf -r
-r
オプションを付けると、標準入力を ASCII は、rot13、漢
字は、rot47 で変換して、標準出力に出する。(サーバで動作する)ニュース・リーダからこの機
能を使うには、ファイルに保存してから行なうか、パイプに対する出力機能を
利用する。
~/.newsrc
である。これは、次のような形式のテキストである。
このように、1つのニュース・グループの未読と既読の情報が1行で表現されている。 ニュース・グループの名前にコロン---------------------------------------------------------------------- news.group.name1: 1-5368 news.group.name2: 1-2978,3159 news.group.name3! ----------------------------------------------------------------------
:
が付いている
ものは、サブスクライブされたものである。その後ろには、読んだ記事の番号の
リストが続く。たとえば、1-5368
は、記事番号1から5368
までを読んだことを意味する。連続していない時には、コンマ
,
で区切られる。
(Unixサーバで動作する)多くのニュース・リーダで共通の形式を使っているの
で、複数のニュース・リーダを使い分けることもできる。
~/.newsrc
には、もう1つ、それぞれのニュース・グループを購読
しているかどうかを記録する機能もある。上の例では、ニュース・グルー
プの名前に!
が付いているものが、アンサブスクライブされた
ものである。
ニュース・リーダによっては、ユーザに、~/.newsrc
の順にニュー
ス・グループを提示するものがある。このときには、時々このファイルを
sort コマンドでソートしたり、エディタで修正するとよい。
複数のサーバに接続してネットワーク・ニュースを読む場合、
~/.newsrc
をサーバごとに用意する必要がある。というのも、
ここに記録される記事番号は、サーバによった異なるからである。この場合、環
境変数 NEWSRC
を工夫して切り替えるか、ニュース・リーダ
の実行時のオプションで切り替える。ニュース・リーダの中(mnewsやGNUS)は、次のよう
なファイル名をまず探すものがある。
~/.newsrc-hostname
hostname
は、サーバが動いているホスト名である。
Control:
というヘッダが付いた記事で、普通の記事と同じようにサーバ間を伝わってい
く。コントロール・メッセージを受け取ったサーバは、隣のサーバにコピー
するだけでなく、定められた機能を実行する。記事のキャンセルにもコント
ロール・メッセージが使われている。
Spam記事の取り扱いは、ネットワーク・ニュースで非常に大きな問題になっている。 第三者がある基準を設けてspamキャンセルすべきだと主張し、実行し ている人もいれば、第三者によるキャンセルはいかなる場合もやってはならな いとして、個人ごとやサーバごとに対処すべきだとしている人もいる。 たとえば、NoCeM という機能を使えば、ネット ワーク・ニュースに投稿されたspam記事のリストを既読にしてしまうことができる。
匿名による投稿も、問題になっている。ネットワーク・ニュースでは、伝統的に記事 に個人の本名を出すことで、個人の責任を明確にするという習慣がある。 一方で、匿名による新聞の投書と同様に、匿名が必要な局面もある。それ を援助する目的で、匿名による投稿を許しているサーバがある。しかし、 その目的を理解せず、乱用している人もいて、問題になっている。
表2 NNTPの応答
-------------------------------------------------------------------- 応答コード 説明 -------------------------------------------------------------------- 100 ヘルプのテキストが続く。 200 要求受け付け可能である(投稿可)。 201 要求受け付け可能である(投稿不可)。 205 通信路を切断する。 211 ニュース・グループが選ばれた。 記事の数、記事番号の上限、下限、ニュース・グループ名。 400 サービスを中断する。 411 そのようなニュース・グループがない。 421 もうそのニュース・グループには次の記事がない。 500 コマンドが認識できなった。 501 コマンドの文法に誤りがあった。 502 アクセスが制限されている。 --------------------------------------------------------------------以下に、telnet コマンドを利用して、NNTP サーバに接続した様子を示す。
ここで、強調で示した部分が、キーボードからのタイプである。 この例では、ホスト newshost のポート番号119(nntp)のポートに、 TCP/IPにより接続を試みている。2行目から4行目は、telnet コマンドによる 定型的な表示である。通信路が開設されると、サーバは、 "---------------------------------------------------------------------- % telnet newshost nntpTrying XXX.YYY.ZZZ.UUU ... Connected to newshost. Escape character is '^]'. 200 newshost InterNetNews NNRP server INN 2.3.1 ready (posting ok). help
100 This server accepts the following commands: ARTICLE BODY GROUP HEAD LAST LIST NEXT POST QUIT STAT NEWGROUPS HELP IHAVE NEWNEWS SLAVE Additionally, the following extention is supported: XHDR Retrieve a single header line from a range of articles. XHIST Retrieve history file. XMIME Control MIME article handling. Bugs to Stan Barber (Internet: nntp@tmc.edu; UUCP: ...!bcm!nntp) . quit
205 newshost closing connection. Goodbye. Connection closed by foreign host. %
----------------------------------------------------------------------
200
" という応答を返している。これは、NNTP で定義されて
いる応答であり、サーバが、要求を受け付け可能であり、かつ、要求としては
投稿要求(POST)も受け付けることを意味している。"200
" 以
降の文字列は、コメントである。
第6行では、"help
" というコマンドをサーバに送っ
ている。これに対して、サーバは、"100
" という応答に続けて、
受け付け可能なコマンドなど、簡単な使い方を返している。23行目に
".
" からなる行がある。これが、1つのコマンドに対する応答
の終りを示している。
次に、24行において、"quit" というコマンドをサーバに送っている。これに たいして、サーバは、205 という応答を返し、続いて TCP/IP の通信路を切断 している。26行目は、telnet コマンドが生成したメッセージである。
Unix サーバで動作する。
mnews
は、ユーザがニュース・グループの木構造にそってニュース・グ
ループを選んでいくタイプのニュース・リーダである。
mnews
では、ネットワーク・ニュースだけでなく、電子メールを読み
書きすることもできる。mnews
を電子メールの読み書きだけに使っ
ている人もいる。
mnews
を使うには、まず、Telnet (TeraTerm) でサーバに接続する。
次に、「icho% 」に対して、「mnews 」と打つ。
mnews を終了するには、何度か「q」キーを押す。
詳しい使い方:
To: yas@is.tsukuba.ac.jp Subject: [ipe-inet] Report6: Netnews article締め切りは、2003年2月28日金曜日とする。
注意:記事を投稿する必要はない。
注意すべきこととして、GROUP コマンドでは、ニュース・グループ名を一度に 与えることがあげられる。たとえば、comp.sys.mac というニュース・グルー プならば、次のように、一度に全部のニュース・グループ名を与える。
次のように、部分的に与えることはできない。GROUP comp.lang.ruby
vin や mnews では、ニュース・グループを階層構造を持つものとして利用者 に提示している。しかしながら、NNTP のレベルにおいては、そのような階層 構造は存在しない。GROUP comp GROUP lang GROUP ruby
その他の NNTP のコマンドを使ってみなさい。NNTP の定義は、 RFC977 という ドキュメントにある。
Date: